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torinopiccataのブログ

大学生 なんでもないことでつまづく

兄の話

私の兄の話をする。
私には歳年上の兄がいる。
今は実家で引きこもっているけど、大学に在籍中ではあるので肩書きとしては大学生だと思われる。
ただ卒業も現実的に無理なようだし、本人が「学校をやめる」と言い出すのを待っている状態のようだ。

兄が明らかに変わってしまったのは、今から約7年前。兄は高校、私は中学校に通い始めてすぐの頃だ。
人とのコミュニケーションが前から苦手だった兄は、高校という新しい環境で、自分の意見をうまく言えなかったりしてつらい場面に立たされることが増え、どうやら耐えられなくなってしまったようだ。
詳しくはよく知らない。母に聞いてもモゴモゴとしてはっきり答えてくれないし、そうは言わないけど明らかに悲しそうというか、少し険しい表情になる。
それに聞いた私も寂しくなるというか、かわいそうな気持ちになってしまうというか、あんまりグイグイと聞く気にもなれない。だから兄は7年引きこもりをやっているけど、私はよく知らないことが多い。
父は感情的になりやすいし、兄に否定的なことを多く言ってきそうなので論外。兄のことついては父に質問しない。

兄が全然学校に行かなくなった時、ああやっぱり、と思った。中学校ぐらいからなんだか怪しいというか、いつ不登校になってもおかしくないような不安定さがあるのが私にもわかった。
だから、ああ…やっぱり頑張りきれなかったか、そっか…と思った。苦しむ兄の姿を想像して悲しくなったけど、自分は自分で中学校に適応していくのに必死だった。

今現在の私は兄の気持ちにかなり共感する部分がある。しかし当時の私は、あんまり兄の味方になれなかった部分が大きい。
私は色々我慢して学校行ってんのに、お兄ちゃんはいつもパソコンいじってるでしょ!私がいる時ぐらい使わせろ!とか、なんで風呂の時間わざわざ被せてくんの!私いない時にはいっとけ!とキレたことがある・・・

やっぱり学校が好きじゃなくても我慢して行ってる身としては、仕方ないとしても兄が優遇されるのが許せなかった。怒られるとそれを引き合いに出したことが何度かある。
こっちは学校行ってるだけでもいくらか偉いと思うんですけどね。
そう言われても母も困るだけなのはわかるんだけど。誰が悪いわけでもないんだけど。
周りの家庭にはない複雑さというか、もやもやした感情に長いこと苦しめられている。

兄が引きこもりなのは悪いと思ってない。仕方ないことだと思うし、色々な理由があるようだ。でもやっぱり、仲良し家族や、会話のある兄弟姉妹がうらやましい。
そう母に話すと、決まって「でもね、引きこもりって珍しいことじゃないのよ」という。
まあ確かにね。日本ではそういうの多いし、数値的にみてもそうなんだけど。
でも、私の周りにいる人、つまり私の友達の家庭には、引きこもりの人はいない。「兄が引きこもりであること」は私にとっては普通じゃない。私の家は普通じゃない。それがつらい。

「兄が引きこもりであること」は、いつどんな風に人に打ち明ければいいんだろう。別に積極的に話していきたいわけではないし、できれば話さないけど。
でもどうしても会話の中で、
「兄弟はいる?」
「兄がいます」
「何歳上?」
「3歳上です」
「じゃあ大学生かな?どこ大?」
みたいな会話になってしまうのだ・・・みんな兄弟のこと聞いてくるのだ・・・
じゃあ兄弟はいないと言えばいいのだろうか?
そうじゃないと思うけどな・・・
仲の良い友達数人には、兄が引きこもりだと話している。
そうなんだ、というだけで必要以上に聞いてこない人もいる。それが一番いい。
でもネタとして扱ってくる友達もいて、まあ気まずくされるよりはいいんだけど、やっぱりこの人には「引きこもり」って馴染みがないものなんだよなと思って、どうも悲しい。

話を戻す。
兄が高校を不登校になって少し経ち、高校の先生が家に出向いてきた。
私は直接目で見ていないが、兄の部屋のドアの前で「〇〇くん、何か、悩みでもあるのかな?先生に話してみてくれないかな?」とか言っていた、ような気がする。
本人絶対嫌がってるだろ、やめろバカ逆効果だぞと思ったけど、先生としても何もせず放置しておくことは立場的にできなかったのだろう。
先生の説得(?)はもちろん効果なしだった。
その頃の兄は、どんな感じだったんだっけ、よく覚えてないけど。
とにかく部屋から全然出てこなくて、
母が部屋の前に食事を置いていて、いつのまにか食べてあり空の食器が置いてある、という感じだった。食べていなかったことも多かった気がする。
あ・・・これドラマでよく見るやつじゃん・・・と思った。

兄はやがて通信制の高校に転校し、無事に?かよく知らないけど卒業した。
そして私立の大学に入学した。
続くかな?大丈夫かな・・・と思ったら、大丈夫じゃなかったようだ。長いこと休学中である。

ちなみに、数学に強いイメージのあった兄は知らないうちに文転していたようだ。現代文かなんかの成績がとても良いらしい。
私の知らないうちに、兄の中でも色々変化があったようだ。

兄が引きこもりになって7年も経つのかと、これを書きながらかなりびっくりしている。
確かに結構経ったなと思っていたけど、数字にするとなおさらだ。
引きこもりになってしまってから、まともに喋っていない。
喋ったとしても、
「パソコン使いたいから変わってもらっていい?」
「あ・・・ハイ。」とか、ほんとそのくらいのものしかない。それぐらいの会話も数える程しかしていない。
というか、姿もあんまり見ていない。
兄はとにかく人と一緒に居たがらない。(ペットの犬は別なようだ)
人の足音が聞こえてくると、すぐどこかに逃げる。兄が食事をしている時に台所に行くと、気配を察したのかいなくなっている。
家族であっても、なるべく顔を合わせないのを徹底しているらしい。
ただこれは私の場合なので、母や父の場合はどうなのか知らん。おそらく母が1番会話できている、であろう。
私が同じ場所にいてもたまあに逃げない(逃げられないのかもしれんが)時や、すれ違うことがある。
その時ぐらいしか姿を見ないから、あんまり顔とかを思い出せなくなってきた・・・というか、昔の顔しか出てこない。今どうなってるのか、よくわからない。

とりあえずわかるのは、相変わらず痩せていること、長髪気味なこと、ぐらい。兄妹っていうすごく近い間柄なのに、顔も見ていないし会話もしてないことへのさみしさが、年々増してきている。

不登校になる前は、仲良し兄妹!とかっていうわけではないけど、普通に仲は良かったと思う。
兄の気分にもよるけど、よくゲームを見せてくれたり教えてくれたり、バトミントンしたり、レゴやったり、色々しゃべったりしてくれたし。
特別優しいとは思わないけどたまに遊んでくれて楽しかったし、話が面白かった。思い出補正かな。

今の私の気持ちとしては、家族とぐらいおしゃべりしてほしい。
別にすぐに働け!とは思わない。とりあえず労働とかよりも家族との会話が大切じゃなかろうか・・・
人には人のペースがあると思うし、私も7年で色々と悩んできて、兄に対しての考え方も変わったし、父も自分が抑鬱やったのもあってだいぶ寛容になったと思うのだ。
やっぱり家族なのに長いこと会話なしだと、自分が1人っ子なのか何なのかわかんなくなってくる。
兄・姉持ちの友達の話を聞くと、会話があってうらやましい。
私にも兄、いるんだけどね・・・

いつになったら、昔のように会話できるかな。
一緒にポケモンしたりとか、マンガ貸し借りとかしたいんだけど、それが叶う日はくるでしょうか。
果たしてこのまま待つだけで、何か兄の方からアクションはあるんだろうか・・・
でも、こればっかりは一朝一夕でどうにかなるわけではないから、
まだまだじっくりと、待たなければならないようだ。
さみしいなあ。